和歌劇作品紹介

「富智の山 (ふちのやま)
脚本:菅沼 登
音楽:歌枕 直美・綱澤 僚

- あらすじ -

 
[第一部] 
遠い昔、未だ日本の国が無かった頃、国造りの神であるイザナキ(男性の神)とイザナミ(女性の神)が現れ、日本の国土を始めとして、山や川、草や木を造りだした。ところが、イザナミが まるで火山の噴火の様に、鉄などの金属を産み出した所、その熱により火傷を負って死んでしまった。
 
[第二部] 
富士山の麓に、子供のない男性の老人が住んでいて、名を竹取の翁と言った。ある日、竹取の翁が竹を伐りに行くと、光を放つ一本の竹を見つけた。その竹を伐ってみると、中から小さな女性の赤子が出てきた。翁が その赤子を家に連れて帰って育ててみると、その赤子は異常に生長が早く、数年の内に大人となり、彼女は自らの名を”かぐや姫”と名乗った。やがて、かぐや姫の美しさが評判となり、数人の若い男性が翁の家を訪れ、彼女に求婚した。しかし、彼女は求婚者たちに対し、解決が非常に難しい課題を出すことにより、結婚を許さなかった。やがて噂が駿河の大王の所にも伝わり、彼は翁に対し、かぐや姫を后にするので差し出す様に命令を出し、その代償として翁に金銀の宝を与えた。駿河の大王の宮殿に着いたかぐや姫は、自分は 天の国から来た者で この国の者ではない、そして今 元の国に帰る時が来た、と言い、翁に 育ててくれた礼を言うと、富士山の頂上に向かって飛び去った。
 
[第三部]
 富士山の麓にある駿河の国には、その山から生ずる清らかな湧き水により、豊かな農作物の稔りがあった。その国に住む一人の若い男が、毎晩 険しい峠を越えて、隣の集落(地区)に住む恋人の家に通っていた。やがて二人は結婚し、子供も生まれた。ところが、朝鮮半島で戦争が勃発すると、そこに縁の深い駿河の大王は、自ら防人(兵士)を率いて、戦地に赴くことになった。駿河の大王は、一万人もの防人を徴発(動員)したが、その峠を越えていった若い男も徴発された。見知らぬ国に旅立つことになった その若い男は、父母に別れの挨拶として和歌を詠み(作り)、最後に 最愛の妻と二人で眺めた富士山の歌を詠んで、故郷に別れを告げた。


 
- 感 想 -

☆最後の「富士」の歌に感動しました。1300年前に山部赤人が詠んで、今 歌枕さんが歌われる〜語り継ぎ言い継ぎゆかん〜と聴かせていただき、日本人である誇りを感じました。
★オープニングのイザナミ・イザナギの国生みのお話では、日本列島誕生の力強さを感じる音楽で、自分の中の日本人の血が騒ぐのを感じました。
☆物語の後半、この大切な人を残して旅立った駿河の若者の話と、自国は徴兵制があるので、そのことが重なり胸が熱くなりました。(ポーランド公演にて)
 

- 公演実績 -
2013年9月20日静岡・森町文化会館小ホール
2013年4月7日愛知県田原市文化会館
2012年11月12日山口県下関市立豊田中学校
2012年10月20日~11月3日 ポーランドコンサートツアー2012 
2012年8月4日 うたまくら茶論 前半
2012年9月1日 うたまくら茶論 後半
2008年6月21日 ラスターホール 伊丹市生涯学習センター
2007年10月27日 ポーランド・ワルシャワ市 ジャパンウィーク 文化宮殿ホール
2007年10月26日 ポーランド・ポズナン市 アダム・ミツケビッチ大学
2007年10月24日 ポーランド・ワルシャワ市 ワルシャワ大学
2007年5月6日 アクトシティ浜松音楽工房ホール
2006年5月27日 富士山本宮浅間大社
2006年3月4日 うたまくら茶論(第二部)
2006年2月4日 うたまくら茶論(第一部)
登録商標について:「和歌劇」は株式会社うたまくらの登録商標です。