和歌劇作品紹介
「カラノの舟
」
~大伴旅人の大和琴の歌によせて~
脚本:菅沼 登
音楽:歌枕 直美
― あらすじ ―
今から千二百年あまり前、万葉歌人の大伴旅人が九州の太宰府に赴任していた時、不思議な夢を見ました。それは、旅人の愛用の琴に宿っていた木の精が、自らの願いを打ち明けるというものでした。大きな木には魂が宿っており、それが伐られて舟に加工されても尚、不思議な力を発揮したことを、万葉集と古事記の歌により紹介します。
― 見どころ・聴きどころ ―
昔、大きな木を使って舟をつくり航海をしており、その舟が古くなると燃やしていましたが、燃えない部分があり、そこには木の魂が宿っているので、それで琴を作ると良い音で遠くまで聴こえたという内容で、当時の人々が自然への感謝の気持ちを、歌い踊り伝えたのではないかと思わせる歌です。
― 感 想 ―
☆昔、子供の時に、母からお琴の木は神様の木でできていると母から教えられ、どこにでも置いてはいけない床の間に置かなあかんと、教育されたのを思い出しました。
★神社・仏閣に行くと、木の魂を感じます。近くに立っている大きな木も、昔は信仰の対象になっていたのではないかと思うので、このお話がよくわかりました。
☆大伴旅人の歌ですが、『梅と宴』の歌にある「梅の花が夢の中で語りました。」というのに次いで『カラノの舟』では、「自分が使っている琴の魂が語りかけてきたという夢を見た」と友人に手紙を書かれているというのが、とてもロマンチストで素敵だと思いました。
― 公演実績 ―
登録商標について:「和歌劇」は株式会社うたまくらの登録商標です。