和歌劇作品紹介
<前半>
西の国からやってきたホムタの一族の頭領・オオサザキは、摂津の国なる難波宮を拠点として、ヤマトの国へ進出しようとした。そして、河内と紀伊に勢力を持つ根の国と同盟を結ぶため、その王女・イワノヒメを后として迎え入れた。そこでイワノヒメは、楠の大木を伐りだして大きな舟(カラノの舟)を造り、オオサザキに進呈した。
オオサザキの家は複数の夫人を持つ習慣を持っていたが、根の国にはその様な習慣がなかったため、イワノヒメは難波宮に皇女を残して母国に帰った。そして、よりを直そうとしたオオサザキが迎えにきても、それを断った。
オオサザキと同様、ヤマトの国へ進出しようとしていた根の国にとって、山代の国を支配しているワニの一族は競争相手であった。そのワニの出身である女鳥王がヤマトの国に進出した所、イワノヒメはオオサザキと共同で軍勢を送り、女鳥王を滅ぼした。その際、配下の将軍が、女鳥王ミが持っていた宝石を略奪したことを知ったイワノヒメは、その将軍を処罰した。
<後半>
イワノヒメとオオサザキ亡き後、根の国の人たちは、難波に残した皇女を奇計を用いて取り戻した。そして、その皇女・オオナカツヒメを頭領として、根の国はヤマトの国に進出した。
ヤマトの飛鳥宮に住み着いたオオナカツヒメは、一族のオアサズマと結婚した。そして二人は徐々に領地を増やし、オアサズマは大王の位を得た。ところが、儀礼のため根の国に出張する様になったオアサズマは、時々その国の宮殿で、后の妹・ソトオシヒメと密会する様になった。時たまにしか逢えない二人は、互いを求める歌を交わした。
オオナカツヒメとオアサズマが世を去った後、そのの皇子たちの間で、大王の位を巡って争いが生じた。以前から跡継ぎとして指名を受けていた皇子・カルは、密かに妹と関係を結んでいた。カルの競争相手であった皇子・アナホは、その噂を耳にすると、大王を決める会議でカルの秘密の関係を暴露した。会議の結果、カルは有罪となり、伊予の国に流刑となった。その妹は、掟を破って兄・カルの処に向かい、二人はそこで命を断った。
ところが、大王の位を得たアナホは、その弟・ワカタケによって倒された。この様な混乱を収拾するため、人々は遠い国(近江)から王子を招き、オオナカツヒメの皇女と結婚させて大王の位に着けた。