和歌劇作品紹介

「ざざんざの松」
脚本:菅沼 登
音楽:福原 真衣子・歌枕 直美
- あらすじ -

今から六百年あまり前、足利義教という将軍がいました。義教の祖父・尊氏が建てた足利幕府は決して他を圧倒する軍事力は持っておらず、各地を治める領主たちを束ねる魅力、つまり求心力を保つ必要がありました。そこで将軍・義教は将軍の権威に拮抗しうる有力者を次々に粛清する一方、和歌や演劇などを奨励することによって都を文化の中心とし、その文化を地方に発信することで求心力を得ようとしました。
その頃、かつて幕府のあった鎌倉には鎌倉公方という将軍家の分家が住んでいて、関東地方の領主たちのお目付役を果たしていましたが、将軍・義教の時代には将軍の地位を狙っていました。そこで義教は、富士山を見物するという名目で都から駿河国まで旅をし、道中の所々で和歌の歌会や演劇などを公演しながらそこに息のかかった者を配置することにより、鎌倉公方を牽制すると同時に都の文化力を見せつけようとしました。
その途中で浜松に立ち寄った義教は、海辺の松並木の下で狂言という新しい演劇を上演し、その冒頭で自ら「ざざんざ、浜松の音はざざんざ」という前ぶれの歌を歌いました。この和歌劇では、将軍・義教や和歌の師範・飛鳥井の作った和歌を始め、様々な立場の人たちが詠んだ歌を、新しい音楽に乗せて紹介します。
 

- 公演実績 -
2011年10月1日 浜松・天王山 福厳寺
登録商標について:「和歌劇」は株式会社うたまくらの登録商標です。