セミナーレポート

ペダルの秘密

グランドピアノとアップライトピアノ、それぞれにペダルはありますが微妙に役割、効果が違います。又、歴史的にもいろんなペダルが生み出され消えていきました。単純に踏む踏まないだけの世界ではないペダルの秘密に迫ります。

■いつからペダルが生まれたの?

作曲家と共にピアノも変わってきて、そして表現によりペダルが生まれてきました。バッハの時代にはペダルがなかったからこそバッハの表現が生まれたのです。そのことを知ってのピアノ教育になっているかは疑問ですが。
 

■ピアノが生まれ時代とバッハ

ピアノが生まれた時は形がチェンバロとほとんど変わらなかったためペダルがありませんでした。バッハは音が途切れる(ペダルがない)楽器からいろんな試行錯誤で曲の中に変化をつけていました。

 
 

■トルコ帝国の台頭、文化と音楽

ロシア帝国と、トルコ帝国が和解しだ時代があり、そのときにヨーロッパにどっとトルコ文化が入ってきました。それに刺激を受けた音楽、楽器が生まれたのです。
 

■モーツァルト、ベートーヴェンのトルコ行進曲

トルコ音楽というのは軍隊の音楽でもあります。ラッパ、シンバル、太鼓などこれらを組み入れたピアノが登場しました。それによりペダルの数が4~8本と増えていったのです。それらの影響を受けていた曲は今度は時代と共に廃れていったのです。トルコ行進曲からラッパ、シンバル、太鼓が聞こえてきそうです。

■工夫しだいで再現できる

ピアノという楽器はほぼ完成されたものなのでその中での工夫は現代のピアノにも使えるものが多々あります。
 

■リストは王道を行く

シンプルなピアノでの曲つくりを好んだリストは最低限のペダルのあるピアノで曲を作り、その代わり楽譜上でできる限りの工夫をしてトルコ時代のペダルの効果を使わない方法で表現しました。

■ペダルの効果と可能性

ペダルは単純に踏むだけのものではありません。踏む運動量を加減することによりいろんな音色が出てきます。その可能性を知ってるのと知らないのとは大きな表現の違いがあります。
 

■音を聴く

少しの変化の音をしっかりと捉える事により表現の幅が生まれてきます。音を聴く、表現方法を試す、このことが現代ピアノ音楽をやることに一番欠けていることかも知れません。なぜシンプルになったのかを改めて見つめなおせば曲の表現が変わってくるのではないでしょうか。

お越しいただいた方から感想をいただきました。

その当時の時代背景、環境が新しい芸術家を生み、その芸術家達が新しいピアノを生み出すと同時にそれらのピアノ達がまた新たな芸術家を生み出していく、という相互関係に必然的な運命を感じてとてもおもしろかったです。ペダルというほんの一部のパーツからそのようなことをうかがい知るかとができ、ピアノの新たな魅力に気付かされました。 色々な変遷を辿りつつも結局はシンプルなところへ戻っていく、それも必然故なのかなと思いました。(K.I)
 
本当に楽しかったです。歴史を通して作曲家を通して開発されていくピアノのペダル、色々な試みのペダルが生まれて、一番シンプルで大切なものが最後に残ったというお話は、夢というかロマンがありました。調律・整調に直接関係しない事であっても、ピアノに携わる人なら知っておきたい引き出しが一つ増えて良かったです。自分でも調べていきたいなと、視野が広がりました。チェンバロの音が出るピアノも楽しくて不思議で、でも実は簡単に出来ちゃう仕組みだったりしたので、作って楽しみたいです。たまたまホームページを見付ける事ができて、第一線で活躍されている方のお話を聞く機会があって、本当にラッキーです。これからもこんな貴重な機会に出会っていきたいです。(H.I)
 
ペダルだけでも、時代や作曲家の変遷との関係が密接で、その意外な切り口がとても面白かったです。ペダルは演奏上の表現にかかせませんが、ピアノの発展とともに演奏者が「こう表現したい!こう弾きたい!」と思うことから生まれた機能だから、現在シンプルに3、4機能のペダルもニーズがあればまた進化するのかなと思いました。昔は打楽器のペダルもあったということで、なぜそういったものが生まれたのかが分かり、面白いと思いました。いつも荒木さんが予想外の掘り下げかたをされるので、来月もまた楽しみです!(A.O)
 
ピアノの発達は作曲家、時代背景と密接に関係しているのだと実感しました。以前よりペダル数の多いピアノがあったということは学校で習っていて知っていたのですが、それがオスマントルコの影響を受けていたことを知り、なるほどそういうことなのかと納得しました。これからはただ漠然と年表と作曲家というふうに憶えるのではなく、当時の時代背景を知りより深くのことを学べるようにヨーロッパの歴史、小説、映画などを観て勉強していきたいと思います。(S.I)
 
作曲家がどのような環境、どのようなイメージで曲つくりをしていたのか考えさせられました。軍隊音楽とペダルの話が面白く、トルコ行進曲などイメージで弾いていたものが自分の中で間違ってなく繋がっていたことが大変嬉しかったです。確認させていただける場でした。(N.N)