セミナーレポート

「ピアノを知ろうVol.2」ピアノの前身、クラヴィコード大解剖

クラヴィコードを知ることによって、歴史的背景、国によっての発達、衰退の仕方などピアノのとのかかわりがわかります。

■楽器の系譜

紀元前から続く系譜をまとめてみると、ピアノは勿論最新の最上段になります。その一歩手前が今回取り上げるクラヴィコードです。チェンバロとは正反対になるものですが、13世紀から続く歴史がありました。

■この世から消え去る

全盛期はやはりバッハのいたバロック時代でしょう。音楽はまだまだ貴族のものでもあり、クラヴィコードもお嬢様の練習用楽器でした。それから普及するにつれ国によって栄える速度が違いました。まず、衰退し始めたのがピアノが生まれた国イタリア、そしてイギリス。19世紀に入って盛んだったのはドイツ。ピアノの発達史とも合う内容です。そして19世紀の中ごろには完全に消えていきました。

■アーノルド・ドルメッチ

イギリスの楽器製作者、クラヴィコード演奏家でもあるドルメッチが、ルネッサンスの職人技術をなくさないためにも消えて言った古楽器を復活させていきました。今では日本の義務教育でも使われるリコーダーも有名です。

■どのように音が出るか?

鍵盤は単純な上下運動、つまりシーソーのような感じです。湯部が触れる反対側にタンジェントという真鍮片が取り付けられて、それが弦を押し上げて発音になります。
 

■何故音が小さいか?

もちろん響板が小さいということもありますが、最大の要因は振動する弦の端を打つからです。ヴァイオリン、ギターなどでネックの部分を指だけで押さえて音を出すときに小さい音になってしまうのと同じ原理です。

 

■改めてバッハを

普段ピアノで弾いている曲を改めてこのクラヴィコードで弾いていただきました。するといろんなニュアンスのつけ方、ピアノではわからなかった基本的な音の出し方、強弱などが見えてきます。バッハがこの楽器を好んだことがよくわかります。すべて現代に通じるものでないにしても、基本がどうなのかを知るだけでも、今に活かせることだとおもいます。ジャズ奏者の中でもこのクラヴィコードの奏法を取り入れている人もいます。こういう楽器だからこそピアノにも通じるものがあると思います。

お越しいただいた方から感想をいただきました。

今回の企画で、長年の疑問だったチェンバロとクラヴィコードの違いがようやくわかりました。クラヴィコードは、チェンバロにはできない音の強弱の表現、さらにはベーブングというヴィブラートができることなど、非常に興味深くて面白い楽器であることがわかりました。この楽器でバッハを弾いてみたら、とても楽しかったです。家に帰ってから、カーク・パトリックがクラヴィコードで弾いたバッハの平均率クラヴィーア曲集を聴いたら、この楽器に馴染みができたおかげで、その演奏の魅力がよく理解できました。(J.I)

クラヴィコードやチェンバロの鍵盤の重さなんて考えた事が無かったのでgまできくとびっくりしました。ブラームスやマーラーの時代には鍵盤の重さが100gくらいで弾いていたと聞いてびっくりしました。実際に1セクションだけ100gの重さに作られたピアノを弾かせてもらい、あまりの重さにびっくりしました。普通には弾けない・・・。鍵盤の重い軽いも自分の基本的な感覚(家のピアノの鍵盤の重さ)があるからこそで、最初にちゃんと整調されたピアノを弾かないし、知らないうちに凄く重たいピアノを普通と思って弾いている事があるだろうと思いました。(A.O)