第一部 「熊野」‐東の国の歌姫ー
~鐘の音が人の心を動かす~
武力によって権力の頂点に立った平清盛の嫡男・宗盛は、統治する遠江国から美貌の歌姫・熊野を呼び寄せ、自らのものにした。母が重病との知らせを受けた熊野が帰国を願い出ても、宗盛はそれを許さなかったが、熊野をつれて花見に出掛けた東山で、祇園精舎を想起させる鐘の音が、宗盛の心を動かした。
第二部 「敦盛」‐音楽の貴公子‐
~篳篥は別離の悲しみを伝える~
平氏といえど傍流の出のため、立身出世より音楽の道を極めることを目指した敦盛であったが、時代はその夢を打ち砕き、一ノ谷の露と消えた。ところが敦盛との出会いが、敵将・熊谷の心を動かし、その人生を大きく変えた。例え短い人生であっても、その想いが受け継がれて行く。